月刊てあて「特集」

今月の特集

2022年5月1日<153号(2022年5月)>

いつまでも元気でいたい

  • 担当マッサージ師/てあて在宅マッサージ浦和 吉野哲史
  • レポート/てあて在宅マッサージ 相談員 中村博子
いつまでも元気でいたい
一時は笑うこともできなくなっていましたが、今は、病気と上手に折り合いをつけて満たされた毎日を送っています。常に寄り添ってくれる2人の娘さんたちが良き理解者であり、力強い支えです。

「施術の際は、歩行に繋がる基礎訓練を入念に行い、自主的に行えるエクササイズや姿勢指導を実践しています」担当マッサージ師/吉野哲史

 太陽のようにキラキラした笑顔が素敵なS.Fさん。昭和7年生まれで、今年7月に90歳になります。リウマチ歴20年、脳梗塞2回、下肢のむくみ、体幹の筋力低下に認知症など。抱えきれないほどの病の辛さを笑顔に変えて、今日も元気印で暮らしています。

失った日々‥

失った日々‥
調理師免許や着付け講師の免許証は、Sさんの人生の勲章でもあります。着付けを教える代わりに頂いたというご友人からの絵手紙も元気の源になっています。

 社交的で行動力にあふれるSさん。現役の頃は、調理師の免許を取って給食センターで13年働き、さらに着付けの師範の資格を取って教室を開くなど、大活躍でした。引退後も、踊りや体操教室、グラウンドゴルフ、カラオケ、旅行など、ぎっしりのスケジュールを楽しくこなす日々でした。
 そんなSさんが、甲状腺機能低下症により入院したのは、一年前のことです。それをきっかけに不調が続き、膝の痛みで歩くこともできなくなりました。気持ちも落ち込んで、家に閉じこもるようになってしまったといいます。
 「血圧もコレステロール値も高く、何回か膝に溜まった水を抜いたりとかして。先生から運動しなさいと言われても、体が動かない状態でした。パンパンにむくんでいる脚だけでも、なんとかならないかなと、ケアマネジャーさんに、てあて在宅マッサージを紹介してもらったんです」。

「1日1日健康でいられることが何よりの幸せ」/S.F

「1日1日健康でいられることが何よりの幸せ」/S.F
施術では、マッサージとプラスして抵抗運動などのエクササイズを行うことで、体幹下肢筋力が向上してきています。立ったり、歩いたりの動作が安定し、日常生活での活動量もだいぶ増えてきました。

元気復活!

元気復活!
思い出に残っている旅行の一つが、80歳で娘さんたちと行ったフランスのモンサンミッシェッルです。当時はまだ杖も必要なく、教会までの長い坂道をがんばって歩きました。

 その後はデイケアでのリハビリも並行して行うようになり、最近では少しずつ体調が改善してきています。それと同時に、持ち前の明るさも復活。運動をかねて、シルバーカーを押してスーパーまでの買い物も習慣になりました。
 「ニンジンやタマネギなど、重いものをたくさん買ってもシルバーカーだと楽でいいんですよ。近所の知り合いによく会うんですが、名前が出てこなくても、みんな元気で長生きしてください!って思えて嬉しくなります」。
 脚のむくみのためにたくさん買い溜めした湿布薬も、今はまったく使わなくなりました。
 「寝たきりになって面倒を見てもらうのは大変だから、コロッと逝くまで、元気でいたい!」と、茶目っ気いっぱいの表情で語るSさん。取り戻した健康を大切にして、次の目標である100歳を目指します。