月刊てあて「特集」

今月の特集

2022年6月30日<155号(2022年7月)>

1日1日、笑顔とともに

  • 担当マッサージ師/てあて在宅マッサージ所沢 横田薫
  • レポート/てあて在宅マッサージ 相談員 間明日香
1日1日、笑顔とともに
毎朝6時に起きて、作業所に9時に到着。15時まで仕事をして帰宅するという規則正しい毎日を過ごしています。在宅マッサージで日々の疲れも癒えて、Ⅰスマイルが復活しました。

「施術中は、頻繁に筋過緊張状態の症状が見られるので、マッサージで全身の血行を促進させたうえで、ストレッチと関節可動域訓練を行っています」 担当マッサージ師/横田薫

 Ⅰ.Kさん(57歳)は出生後すぐに脳性麻痺を発症し、障がいとともに歩んできました。現在は東京都小平市のグループホームで暮らしながら、系列の作業所では仕事に励んでいます。いつも元気いっぱいで笑顔を絶やさないⅠさん。たくさんの人の温かい手に支えられながら、充実した毎日を送っています。

小さな身体を襲った病

小さな身体を襲った病
絵画クラブは、Ⅰさんの楽しみの一つ。毎回、好きな題材を決めてから描いてもらった下絵に水彩絵の具で色を塗ります。豊かな色彩に心が温かくなります。
先日、57歳の誕生日を迎えたⅠさん。ホームのお誕生日会ではケーキをリクエストして、にっこり笑顔。

 脳性麻痺とは胎児期、または新生児期に脳障害による運動機能の麻痺が起こり、身体が不自由になることを言います。Ⅰさんの場合は、生まれた直後に、新生児黄疸に罹患。それによる細胞障害で脳性麻痺を引き起こしました。
 小さな身体に背負った障がいは、あまりにも大きなものでした。けれども、家族をはじめ、たくさんの人の温かい手に支えられ、素直で明るく、そしてたくましい女性に成長しました。
 生まれは埼玉県新座市でしたが、小学校に上がるときに施設に近い東京都小平市に家族で移住しました。現在は実家を離れ、地域での自立生活を目指すグループホームで暮らしながら、系列の作業所に通っています。
 現在、在宅マッサージは週1回訪問しています。「パソコン作業や絵を描いたりして、肩がガッタガタ。マッサージのおかげで気持ちいい!」といいます。

締め切りに追われて大変! でも、好きだから続けられます。/Ⅰ.K

締め切りに追われて大変! でも、好きだから続けられます。/Ⅰ.K
動かすことのできない下半身は足先に浮腫みや冷えを感じやすいので、マッサージでよくほぐして、血流を良くします。施術後は、過緊張が緩和し、身体の動きもスムーズになります。

自立を目指して

自立を目指して
Ⅰさんが担当している「あさやけ通信『風』」は、年11回の発行です。情報満載の誌面が出来上がると、締め切りに追われた苦労も充実感に変わります。

 1年くらい前から今の仕事についたⅠさん。主にグループの活動を紹介する定期刊行物の制作を行い、パソコンで音声入力による原稿執筆をしています。
「10分作業したら15分休まないと身体に負担がかかりますが、好きなので続けられます」。
 週に1回は絵画クラブに参加して絵を描くことや、テレビで大好きな巨人軍を応援することにも夢中です。実家はすぐ近くにあり、仕事がお休みの日には、家族で外食を楽しんだりもしています。
 そんな日々のワークライフバランスの充実ぶりが、朗らかな表情に現れています。
 純粋な笑顔とともに、人生を力強く生きるⅠさんの姿は、今日も活力で溢れています。