月刊てあて「特集」

今月の特集

2022年7月31日<156号(2022年8月)>

楽しみを目標につなげて

  • 担当マッサージ師/てあて在宅マッサージ相模原 畑井祐子
  • レポート/てあて在宅マッサージ 相談員 平下芙美
楽しみを目標につなげて
結婚して63年の月日が流れ、6人の孫と6人の曾孫の顔を見ることができました。時には喧嘩もするそうですが、お互いに心から信頼しあっている素敵なご夫妻です。

「施術では、マッサージとストレッチを行うことで、過緊張や疼痛をやわらげます。また、関節機能訓練を継続し、可動域 や動作の改善に努めています」担当マッサージ師/畑井祐子
 
 

 E.Nさん(86歳)は、リハビリ仲間からの紹介で在宅マッサージの施術を行うようになって6年になります。施術者とは相性も良く、何でも相談し合えるとご縁が続いています。度重なる病やケガにも負けず、少しでも長生きしたいという思いが日々の努力につながっています。

病にも負けず

病にも負けず
 ベッドサイドの華やかな折り紙のチューリップは、リハビリ仲間からもらったもの。「いっぱい欲しいと言ったら、こんなにたくさん作ってくれました」。

 ツバメは、巣を壊さない心の優しい主の家を選んで巣を作るといいます。そんなEさんの家の玄関先にも巣があり、毎春かわいい雛たちが巣立っていきます。
 生まれは横浜ですが、戦争により家を失い、学生時代は鎌倉で暮らしていました。その後横浜に戻り、ご主人とは勤め先の貿易会社で出会い、町田を経て現在の相模原の家に移り住みました。
 娘さん2人との賑やかな4人家族でしたが、娘さんたちは嫁ぎ、現在は、ご主人と愛犬との穏やかな生活を送っています。
 40歳の時に胆石の手術、63歳で脳梗塞に。その後も左上腕・左膝、腰椎、大腿骨を骨折。白内障、大腸がん、糖尿病を患うなど、ケガや病気で苦労しました。それでも86年という歳月を振り返ると、家族や友人に恵まれて、「幸せの部類には入るのかな」と笑います。

施術中は、喋ったり、笑ったりと、 いつも楽しい時間が流れています

施術中は、喋ったり、笑ったりと、 いつも楽しい時間が流れています
「1回でも休むと、体が重たいと感じる」とEさん。全身に無意識に力がかかってしまうため、過筋緊張による痛みと凝りを毎回のマッサージでしっかりほぐしていきます。
 

リハビリに励み

リハビリに励み
和柄のコースターとソファカバーはEさんの手作りです。手芸が得意で、若い頃はいろいろなものを手作りしていました。
 

 Eさんは7年前に大腿骨を骨折し、6ヶ月間リハビリに励みました。リハビリ直後は、杖を2つ使って歩行していた時期もありましたが、現在は、家の中では杖を使わずに歩行できるようになりました。
 長く歩くと、腰と脚に強い痛みが出てくるため、運動は、リハビリ専門のデイサービスと週2回の在宅マッサージに頼っています。
「動かなくなっていた左手もすごく伸びるようになってきました」と、長年コツコツと継続してきた努力が、少しずつ形となって現れてきています。
 「でも一番の頼りは在宅マッサージです。先生とは気心が知れているので、『今日は脚をつったから揉んでください』とか、わがまま言っています!」。
今、何よりの楽しみは、リハビリ仲間とのおしゃべり、そして孫と曾孫の成長を見ること。
「長生きしていれば、また曾孫が見られるかも」と話すEさん。これからの人生に、元気を与え続けてくれることでしょう。