今月の特集
2022年10月1日<158号(2022年10月)>
純真な笑顔が元気の源
- 担当マッサージ師/てあて在宅マッサージ松戸 川田勇次
- レポート/てあて在宅マッサージ 相談員 玉城さや香
1500gという小さな体で生まれたR.Kくん(19歳)は、脳室周囲白質軟化症(PVL)という病気を抱えていました。 重度の障がいを持って生まれ、医師からは、将来は歩くのが難しいと告げられましたが、どんな困難にも負けず、親子で一つずつ壁を乗り越えきました。Rくんの無邪気な笑顔が、いつも周りにパワーと元気を与えてくれます。
一つずつ、壁を乗り越えて
脳室周囲白質軟化症は、脳が局所的に壊死してしまうという病気です。早産で生まれてすぐにNICUに入り、その後、脳室周囲白質軟化症と診断。体重が2500g近くになって退院しましたが、その後は産院からのフォローは特になく、右も左もわからない日々が続きました。
「起きている時間はすべて泣いている子だったので、どうしていいのかわからなくて、悩んだこともありました」と、お母さんは話します。
そんな時、脳性麻痺のお子さんをもつ昔の同僚に連絡。『児童発達支援センター』の存在を知り、一歳の頃に2カ月間の母子入院が実現しました。
そこでは、子供のリハビリが毎日あり、母親のための講座や、一人ひとりの境遇を話す機会などがありました。病気を抱えた子供と生活するための知識を得ることができたそうです。
そして、情報は自動的に与えられるものではなく、主体的に取りにいくことが重要だということも学びました。症状には個人差があるため、壁にぶつかるたびに、必要な情報を探し、親子で一つひとつ乗り越え、歩んできたのです。
「障がいを持って生まれた我が子のおかげで、私は強くなれました」/Y(母)
「嬉しい」は全身で
Rくんは筋緊張による反り返りが強く、車椅子に座るのも難しくなり、5年前にバクロフェン髄注療法(ITB)の手術を受けました。この手術のおかげで症状も緩和し、生活が楽になったと言います。
まつど社協だよりをきっかけに、在宅マッサージを始めて4年が経ちます。Rくんは、在宅マッサージが大好きで、訪問の日は『ピンポン』とベルがなると『来たー!』と全身で嬉しさを表現して迎えてくれます。視覚障害があり、ほとんど目は見えませんが、耳からの情報を頼りに毎日楽しく生活を送っています。現在は、生活介護事業所に週5日通っていて、イベントがある時は飾り付けの手伝いも積極的にしています。
日々の身近な体験の積み重ねが、Rくんをたくましく成長させ、明るい笑顔へと導いているのです。