今月の特集
2022年11月1日<159号(2022年11月)>
ありのままに自分らしく暮らす
- 担当マッサージ師/てあて在宅マッサージ飯能 井門健太郎
- レポート/てあて在宅マッサージ 相談員 志村千秋

■「マッサージで全身の血行を促進させ、運動法では、立った状態で下半身のストレッチやスクワットを行います。物を拾う練習にも積極的に取り組んでいます」 担当マッサージ師/井門健太郎
グラフィックデザイナーとして活躍しているS.Mさん(62歳)は、ハードワークが続いていた4年前に脳出血で倒れました。左半身に麻痺が残り、車椅子での生活を余儀なくされましたが、現在はワークライフバランスを保ちながら、身体の機能回復に努めています。病と上手に向き合いながらも仕事と趣味を両立し、充実した日々を送っています。
天職に打ち込んで

部屋の壁を覆う、CDやレコードジャケット、本、雑誌…。そこには、映画、音楽、出版という業界で活躍するMさんの世界観の一部が垣間見えます。画家だった親御さんの影響で、子供の頃から絵や音楽など、クリエイティブなことに関心がありました。
「幼稚園の頃から絵を習っていて、当時住んでいた世田谷区で最優秀賞に選ばれたりしていました」。
グラフィックデザイナーという仕事は、何よりも『ものを創る』のが好きというMさんにとって天職でもあったのです。
「脳出血で倒れた頃は、忙しすぎて、毎日の睡眠が3時間、1時間でご飯を食べてお風呂に入って、1日20時間仕事をしていました」。
そんな過労の日々が続き、気づいたときには病院のベッドの上で左半身麻痺の状態に。まだまだ働き盛り、58歳の時でした。
「仕事のし過ぎで脳出血になって、今はセーブしながら続けています」/S.M

辛い経験を糧に

■本のカバーデザインとDVDのジャケットは、Mさんが手がけた作品。デザイナーとしての奥行きの深さがうかがえます。
救急病院に1カ月入院。その後、リハビリ入院を5カ月、訪問リハビリを2カ月経て、身体の機能を回復させてきました。
「リハビリ入院ではPT(理学療法士)の先生が特に厳しくて。先生に『もしかしてリハビリをボイコットする人いませんか?』って聞くと、『たまにあるね』って言っていましたよ」と、経てきた辛い経験も、今は、軽く笑い飛ばせるようになりました。
現在は車椅子に乗って1人で外出できるようになり、仕事もセーブしながら再開。活動範囲が徐々に広がってきています。
在宅マッサージは、リハビリを兼ねて2年程前から始めました。施術者の井門とは、お互いに中日ドラゴンズのファン。毎回ファントークで盛り上がり、施術中は2人で1週間のプロ野球の総括をするのが恒例といいます。
自身の身体と向き合いながら、オン・オフのバランスを保ち、今できることを豊かに楽しんでいます。