今月の特集
2022年11月30日<160号(2022年12月)>
困難な時代を乗り越え103歳
- 担当マッサージ師/てあて在宅マッサージ昭島 秋元俊弘
- レポート/てあて在宅マッサージ 相談員 佐々木明美
R.Mさんは、大正8年10月30日生まれの103歳。辛い戦争時代を経験し、培った強い精神力で今日まで逞しく歩んできました。これまで、大きな病気にはかかったことも、入院したこともなく、常に自然体で矍鑠(かくしゃく)と暮らすRさんから、たくさんの生きる知恵を学ぶことができます。
懸命に生きて
豆絞り柄の袖がついた愛らしい襦袢を羽織ったRさん。なんとご自身の手縫いです。
「ガーゼは古くなると体にくっつくし、タオル地は洗ううちに薄くなってボロボロになっちゃう。襦袢と寝巻きは、手ぬぐいで作るのが一番よ」と話します。
戦時中の昭和16年、当時22歳で東京・青梅市のM家に嫁いできたRさん。B-29による空襲の最中に長男を出産するという凄まじい経験をし、明日の生死が見えない時代に、妻、母、嫁として懸命に生き抜いてきました。
戦後、戦争から帰還したご主人は高校教師となり、お姑さんが始めた酒屋は、Rさんが切り盛りすることに。
「店番をしながら、常にお裁縫をしていたわ」。家族の着るものや布団など、季節が変わるごとに準備をしたり、家事、育児、介護…と、手を休めている暇はなかったといいます。
どんな時も人に頼らず、一生懸命に生きること。それは、103歳になった今も、変わることのないRさんの心情です。
「週1回のマッサージが何より楽しみなんです」/R.M
自分のことは自分で
息子夫婦と暮らしているRさんは、毎朝6時半起床、21時就寝。食事は、好き嫌いもなくきちんと3食とって、規則正しい生活を心がけています。お嫁さんの手を借りながら、100歳を超えてもなお出来ることは自分でこなしてきました。
しかし、ここ最近は、1階に行くための17段の階段が降りられなくなり、これまで一人で入っていた湯船に入るのも困難になりました。そして、足が思うように動かなくなったのをきっかけに、今年の6月から、在宅マッサージを始めました。
足が痛くならない立ち上がり方や歩行時の足の運び方など、施術師から教わったことを日々実践し、練習も欠かさずに行っています。
今後の願いは「自分の足で歩いて、17段の階段を下りること!」。
周りを癒す少女のような純真な笑顔と、逞しい心が、今日もきらきらと輝いています。