今月の特集
2023年7月1日<167号(2023年7月)>
周りを灯す優しい笑顔
- 担当マッサージ師/てあて在宅マッサージ所沢 金光美穂
- レポート/てあて在宅マッサージ 相談員 間明日香
ピンク色のほっぺに、朗らかな優しい笑顔が素敵なK.Tさんは、昭和4年生まれ。今年の8月で94歳を迎えます。61歳で子宮がんが発覚し、2度の手術や放射線治療を受けました。その後、腸の機能低下によって腸閉塞を繰り返し、リンパ浮腫や脳梗塞、むずむず脚症候群などたくさんの病に悩まされながらも、人生で培ってきた前向きな気持ちと我慢強さで何事も乗り越えてきました。
我慢強い精神力
リボンのついた素敵なブラウスがお似合いの、K.Tさん。なんとご自身の手づくりで、ほかにもセーターやニット帽、マフラーなど、裁縫や編み物を器用にこなします。
昭和16年、12歳の時に太平洋戦争が始まり、貧しい困難な時代を経験。15歳で軍服を裁断する仕事に就き、終戦まで働きました。戦後、ご主人と出会い2人のお子様にも恵まれました。
結婚当初は、家事や育児、同居していた義父母と義弟の世話など、日々、家のことに追われ過労で体調を崩したことも。そんな時も、決して愚痴をこぼさず、強い精神力で乗り越えてきました。
その後、ご主人が定年退職を迎えた矢先、病気により60歳の若さで他界しました。
「上手にマッサージをしていただいて、おかげさまで気持ちがいいです」/K.T
心安らげる時間
長年の心労が積み重なり、60歳以降、さまざまな病がKさんを襲います。
61歳の時、子宮がんを患い、翌年に腸閉塞を発症。約30年に渡り何度も入退院を繰り返し、徐々に体力は下がっていきました。
そして、歩行も立ち上がることも困難になり、2年前にケアマネジャーの紹介で在宅マッサージをスタート。「マッサージを始めてからは、おかげさまで立てるようになりました」と言います。
現在、買い物などは息子さんやヘルパーさんの力を借りながら、身の回りのことは自分でおこない穏やかに暮らしています。
Kさんの今一番の楽しみは家庭菜園です。「体が不自由だから買い物に行けないので、野菜が少しあると助かるんです」とにっこり笑顔を浮かべます。
体は思うように動かせないけれど、マイペースにできることを探しながら、一日一日を丁寧に過ごしています。