今月の特集
2023年8月1日<168号(2023年8月)>
真面目に地味にコツコツと
- 担当マッサージ師/てあて在宅マッサージ福島 濱田裕一
- レポート/てあて在宅マッサージ 相談員 佐藤浩子
福島県飯野町は、阿武隈高地の丘陵地帯に位置し、古くから農業や養蚕業が盛んです。そんな町で生まれ育ったT.Kさん(82歳)は、年間200種類もの農産物を出荷していました。病気による腰痛・歩行困難を乗り越えて、再び大地に立って働くことを望んでいます。
農業を生きがいに
T.Kさんは、築140年の威風堂々とした佇まいの家に、奥様のT子さんとお住まいです。
37年間勤めた会社を65歳で定年退職してから、代々受け継いできた田んぼや畑を生かすために、ご夫妻で農業をゼロから学び、最盛期はチェリートマトや花など100種類もの農産物を直売所に出荷。後半生の生きがいとしていました。
しかし、5年前に関節リウマチから腸腰筋膿瘍を発症。さらに胸腰椎多発骨折で入退院を繰り返すようになりました。歩行も困難となり、足腰を使う農業ができなくなってしまったのは言うまでもありません。
身内からの紹介で在宅マッサージをスタートしたのは3年前。
「マッサージを始めた頃は、痛くて痛くてどうしようもなかったですね。腰もだいぶ曲がっていましたから」。
「マッサージは働くための活力になります」/T.K
目標は温泉旅行
現在は、次第に状態が落ち着いてきて、周りの人に「姿勢が良くなったね」と言われることも多くなったそうです。
今では、リハビリを兼ねて、花の栽培を少しずつ手掛けるようにもなりました。
「昔みたいに重量のあるものは作れませんが、休み休みであっても働くことが活力になります。真面目に地味にコツコツとやることがモットーです!」とTさん。
以前は農閑期になるとご夫妻で旅行に行ってリフレッシュするのを楽しみにしていました。
「体がもっと回復したら、熱海あたりに温泉旅行に行きたいです」と目を輝かせます。
暗く長いトンネルの出口がようやく見えてきて、その先の目標に向かい、真面目に一歩ずつ邁進しています。