月刊てあて「特集」

今月の特集

2023年9月30日<170号(2023年10月)>

また再び歩ける日まで

  • 担当マッサージ師/てあて在宅マッサージ飯能 福井岳史、伊藤寿得
また再び歩ける日まで
上品な笑顔が印象的なIさん。記憶力は人一倍で、施設に住む仲間のお誕生日や年齢はほとんど覚えています。施術を終えて本日の担当マッサージ師の福井岳史と一緒に。左上写真は同じく担当マッサージ師の伊藤寿得。

 綺麗にセットされた艶やかなシルバーグレーのヘアが素敵なI.Sさん(82歳)。4年前に、十二指腸乳頭部癌や胆のう炎の疑いで、早期摘出手術を行いました。入院リハビリを経て退院をしましたが、次第に足が悪くなり、昨年には自宅で転倒。起き上がることや歩くことも困難になってしまいました。その後は、車椅子での生活になったものの、辛いことは口に出さず、目標に向かって前向きに進むIさんの姿がここにあります。

 

楽しい思い出

楽しい思い出
7月に82歳のお誕生日を迎え、娘さんからカーディガンのプレゼント!!息子さん娘さんの兄妹仲はとても良く、自慢のお子様たちです。

 「昔、家族でプロ野球観戦に行って、王貞治さんの756号ホームランを間近で見ました。今でも目に焼き付いています」と、これまでの貴重な経験の数々を語ってくださいました。
 昭和16年、静岡生まれ福島育ちのIさん。20代の頃に上京し、結婚して2人のお子様に恵まれました。家族仲が良く行動的なI.Sさん一家は、プロ野球や東京オリンピック観戦、海外旅行など、楽しい思い出を刻んできました。
 Iさんは、子育てをしながら書道六段を取得し、中国語を20年以上勉強をするなど、勉強家であり多彩な趣味もお持ちです。
 「いろんなことをやってきて今がある。楽しい事はとても覚えていて、あまり辛いことって覚えていないタイプかな」とにっこり笑顔を浮かべます。

 

「好きな言葉は『桜梅桃李』。あなたらしく輝くという意味。大事だなと思っています」/I.S

「好きな言葉は『桜梅桃李』。あなたらしく輝くという意味。大事だなと思っています」/I.S
下肢を中心にマッサージをし、足の屈伸運動も行います。「一生懸命施術していただいて、楽しみにしています」と、毎回意欲的に取り組み努力をしています。

努力を積み重ねて

努力を積み重ねて
新聞に出ている川柳が楽しみで本も愛読しています。長年勉強してきた中国語の本には付箋やメモがびっしり。たくさん勉強してきたことがうかがえます。
 手先が器用で裁縫もされるIさん。施設内のぬいぐるみの補修などもお願いされたり、周りからも頼られる存在です。

 

 4年前にご主人が入院してからは一人暮らしをしていましたが、昨年、ご自宅で転倒し、歩くことが困難になりました。
 その後ご主人は他界され、特別養護老人ホームに入居し、在宅マッサージをスタート。はじめは体に力が入らず、スタッフの全介助で生活を送っていました。
 「ぶつけた所が痛いのね。最初はそうでもなかったんだけど、あとから出てくるの」。
 在宅マッサージを始めてからは痛みも解消し、今では自力で横になったり、足も少しずつ動かせるようになったといいます。
 「マッサージだけだと思っていたら、体の動かし方も教えてもらってすごいなって。本当に満足以上ですよね」。
 一つずつ目標を達成しながら前進するIさんの姿は、今日もきらきらと輝いています。