今月の特集
2024年6月1日<178号(2024年6月)>
自分時間を自由にのんびり
- 担当マッサージ師/てあて在宅マッサージ相模原 北浦照佳
- レポート/てあて在宅マッサージ 相談員 今成光子
ハツラツとした明るさが印象的なS.Yさんは昭和6年生まれの93歳。変形性膝関節症による足の痛みがあり、日常生活では息子さんや訪問介護サービスの助けを借りながら、マイペースな暮らしを楽しんでいます。在宅マッサージ歴は10年を超え、Sさんにとってなくてはならないライフスタイルの一部になっています。
健康が何より大切
街の風景が一望でき、開放的で心地よい部屋で暮らしているSさん。東京で生まれ、戦時中に両親を亡くし、北海道の親戚の家で学生時代を過ごしました。疎開で親戚たちも集まり、一時は十数人の大家族だったそうです。
医師だった父親や、99歳まで生きた祖母の影響もあり、小さな頃から体は丈夫でした。病気はもちろん、風邪もあまり引いたことがないと言います。
結婚を機に上京し、息子さんを出産。活動的な性格のSさんは、家事よりも仕事が向いていると、子育てが一段落してからは仕事を始め、メリハリのある生活を送っていました。
しかし十数年前に、ご主人に介護が必要になり、その際、持病の膝の痛みが悪化。そしてある日、Sさんは玄関で転倒してしまい、一時は痛みで歩くこともままならなくなりました。
「大切にしていることは健康であること」/S.Y
気ままな暮らし
在宅マッサージは当初、ご主人へ訪問していましたが、Sさんの脚を心配したご主人の薦めでスタート。その後、ご主人は介護の末に他界され、現在では週2回の訪問を継続しています。
「立ったり座ったりが辛いですね。でも、93歳になって、なんとかやっていけるのが何よりも嬉しいです。みなさんに助けてもらっているおかげです」と言います。
長時間台所に立つことが難しいため、訪問介護サービスなどの助けを借りながら、なんとか一人暮らしを続けているSさん。ご自宅のマンション一階にはスーパーがあり、休みながらもご自身で買い物に行っています。
「でもね、一人暮らしって人に煩わされることがなくて、けっこう幸せだなって思っています」。
時折、一人が寂しく感じることもあるそうですが、逞しくも穏やかに自分時間を楽しんでいます。