今月の特集
2024年10月30日<183号(2024年11月)>
明日は今日よりもっと良い日に
- 担当マッサージ師/てあて在宅マッサージ水戸 北條千鶴
- レポート/てあて在宅マッサージ 相談員 槍﨑菜の花

H.Sさん(68歳)は7年前に脳出血で倒れ、左半身麻痺が残り車椅子生活に。ですが、家では身の周りのことや料理もこなし、外ではボーリングや草野球、さらには障がい者へのボランティア活動もしています。できることは何でも挑戦するHさんの生き方マインドを伺いました。
何事も挑戦

「私、大学生のころ落研にいたんです。なので、ボランティアで障がい者に落語を聞いてもらおうと思って登録しました。障がい者が障がい者のために何かできないかって。何でも挑戦して人の役に立つことがしたいんです」。
小中学は演劇部に所属し、書くことも好きで、自分で書いた劇を演じるのが夢だったと言います。「書く」という意味では、自身の経験を本にして出版するという夢も実現しました。
そんなHさんが、脳出血で倒れたのが61歳の時でした。突然左手にするどいしびれを感じ、病院へ緊急搬送。奇跡的に出血も止まり一命を取り留めましたが、左半身に麻痺が残りました。
「不自由だけど、不自由と思わないように暮らしています」/H.S

新しい人生

6か月のリハビリを経て、四点杖で歩けるまでに回復したものの、室内で転倒し左大腿骨を骨折。その後は車椅子での生活になりました。
「生活が180度変わって一人では何もできなくなりました。庭を駆け回る犬や、空を自由に飛ぶ鳥を見て、何で自分はこうなったんだろうって思いました」。しかし、そこでくじけないのがHさんの素晴らしいところ。リハビリを懸命にがんばったのはもちろんですが、あえて左手も使うように心がけました。
「脳ってすごいんです。動かない左手をなるべく使うようにするとシナプスがつながって、前よりも使えるようになるんです」。
現在は、在宅マッサージのほか、リハビリやデイサービスにも通い、いろんなことにチャレンジしながら活動的に過ごしています。
「今日のことを思い煩っていても意味がありません。明日は今日よりももっと良い日になると信じています」。悲しみはどんどん過去のものに。いつだって希望を味方につけて生きています。