今月の特集
2025年2月1日<186号(2025年2月)>
思いやりの心を忘れずに
- 担当マッサージ師/てあて在宅マッサージ浦和 細田清美
- レポート/てあて在宅マッサージ 相談員 中村博子

上品なお人柄に優しい瞳のM.Sさん83歳。約10年前から足の痛みに悩まされ、昨年1月には歩行不安定になりました。その後施設に入所し、マッサージやリハビリに励みながら少しずつ元気を取り戻していきました。時には、家族との外食や旅行を楽しみながら心穏やかに暮らしています。
新しい暮らし

糖尿病による末梢神経障害、変形性膝関節症などによる足の痛みが10年以上続いていました。ついに歩行が不安定になり現在の施設に入所したのが1年前のことです。
「実は、その頃の記憶が飛んでしまって、よく覚えていないんです。突然日々の生活の基準がわからなくなってしまったんです」。
幸い、入所した施設は家の近くで、お子さんご家族も週2回面会に訪れてくれます。
在宅マッサージは以前通っていたデイサービスをきっかけにはじめて、もうすぐ1年になります。
はじめは混乱していた意識も次第に回復し、今では生活も安定してきました。また、施設ではカラオケや運動などにも積極的に参加し、新しい暮らしにも少しずつ慣れ、メリハリのある生活を送っています。
「マッサージのあとは、体がフワッとしてひとときの幸せです」/M.S

苦労を苦労と思わない

昭和16年、戦争が始まった年に生まれました。まだ幼かったものの、戦中、戦後の記憶は残っています。
「当時の苦労を思えば、今なんて全然。大変なことがあっても、ほとんどのことは何でもないですよ」とMさん。義父母との同居、育児、自身の病気など…、しかし、人生で一番大変だったのは、ご主人が病気で亡くなった時だったと言います。
「今でも主人を思い出さない日は1日もありません」。その言葉には、互いに支え合い、思い合って、さまざまな困難を乗り越えてきた夫婦の絆があります。
Mさんにこれからの目標を聞いてみました。
「子どもたちが大事にしてくれるので、不満はないです。ただ足が悪いので、もう少し良くなったら嬉しいですね」。
たとえ体に不自由があっても、支えてくれる周りに感謝しながら、どんな時も前向きに歩んでいます。