今月の特集
2025年5月1日<189号(2025年5月)>
在宅マッサージにまつわる感動体験!!2025〈3〉「番外編」

3月号・4月号とお届けしました在宅マッサージにまつわる感動体験!!2025ですが、さて今号は、感動体験!! 2025「番外編」をお送りします。どうぞお楽しみください。
「義父からの贈り物」
- てあて在宅マッサージ相模原/平下芙美

自宅療養していた義父がコロナ禍の最中、他界しました。他界するひと月前の出来事です。
義父の容態が急変したので、すぐに来てほしいと連絡が入り家族で駆け付けました。皆で見守る中、看護師さんに酸素の管を入れてもらい容態も落ち着き、家族で安心して談話をしていると義父が突然自分で管を抜いてしまったのです。その日の帰宅後、義母から電話がありました。なぜ、あんなことをしたのか義父に聞いたところ、皆の会話に混ざりたかったが故の行動だったようです。
数日後、家族でいつものように義父のお見舞いに行きました。いつも自由気ままに遊んでいる息子が黙って義父の枕元に寄り添い、黙々と絵を描きながら義父の体をさすっていました。息子は、電話の会話を横で聞いていたのです。そして、義父が寂しくならないようにとずっとそばについていてくれました。
以前、息子からママはどんな仕事をしているのかと聞かれたことがあります。当時3年生だった息子に、「じいじみたいになかなか自分でお医者さんに行けない人のお家に行ってマッサージする人達をお手伝いするお仕事だよ」と説明すると、「僕もママと一緒にお仕事したい」と話していたことがありました。息子はそのことを覚えてくれていたようで、義父に対する思いやりと、私と同じことをしているという喜びからとった行動だったように感じました。
もう義父と会うことはできませんが、義父は人を思いやる心を子供たちに遺してくれました。
「ひ・と・こ・と」
- てあて在宅マッサージ浦和/松原信也

Iさんは寡黙な性格だ。施術開始直後からほとんど会話がない。こちらから挨拶をしても問いかけても返答はほぼない。
難聴でもなく、コミュニケーションに障害があるわけでもない。施術中もほとんど閉眼している。施術に対して不満があるのか、私に対して不満があるのか、正直施術中は落ち着かない気持ちだった。
半年ぐらいたった時のこと。
いつものように「マッサージに来ました」と入室すると、ベッド上のIさんから、ひ・と・こ・と。
「待ってたよ」
思いがけないひとことに私は一瞬固まってしまった。直後、今までのもやもやしていた気持ちがすーっと楽になった。マッサージの意義が伝わっていたんだと。
在宅マッサージに従事して約17年。これほど心に沁みた「待ってたよ」はなかった。
「お孫さんのマッサージ」
- てあて在宅マッサージ昭島/椚健児

高齢男性の患者様からお話しがありました。
「マッサージを始めてから、耳がよく聞こえるようになってきたよ。ありがとう」と。
確かに、以前よりもコミュニケーションが取りやすくなり「孫が遊びにきた時も、孫の声がよく聞こえるようになって嬉しい」と喜ばれていました。
「実は今まで、孫が来るたびに肩を叩いてくれていたが、それが痛くて我慢していたんだ。孫に悪いからね」
「でも、先生の気持ちいいマッサージを受けてから、孫に肩を叩かれても揉まれても痛くなくなった。逆に孫のマッサージがとても気持ち良く感じるようになったんだ。不思議だよね〜」。
そして今では、お孫さんのマッサージを受けると自然に笑顔が出るようになったと、そう穏やかな表情でおっしゃいました。
患者様とお孫さんやご家族が、和やかに過ごす手助けができたと思うと嬉しくなりました。
「お花クイズ」
- てあて在宅マッサージ本社/大木菜々穂

「あのお花の名前は、なんでしょう?」
お散歩中など何気なく子供たちと歩いているときに、花の名前クイズをすることがあります。すると子供たちは、「チューリップ!」などと嬉しそうに答えてくれます。
小学生の息子には、さらに「では漢字はなんて書くでしょう」と。
すると「え、漢字なんてあるの!?」と驚いた反応。
そこで私もちょっと得意気になって教えてあげると、何気ないお散歩も盛り上がります。
でも実を言うと、月刊てあての仕事を始める前は花の知識はなく、初めて聞くような名前の花もあれば、どこに咲いているのかも知りませんでした。毎月届く、島崎昌美さんの絵手紙をきっかけに、少しずつ花の名前を覚え、近所の公園や道端に咲いている花に自然と目線がいくようになりました。
島崎昌美さんが描いた花を見つけると、こんなにも身近なところに咲いていたんだなと、今まで見ていた景色が少し変わったような、新たな気づきが感じられました。
その瞬間、少しだけ島崎昌美さんの見ている景色が目に映っているような気持ちになって心がほっこり温かくなりました。
さて、今月はどんな絵手紙が届くかな。これから迎える季節の花をいくつか思い浮かべながら、今日も道端のお花クイズを楽しんでいます。