月刊てあて「特集」

今月の特集

2025年6月1日<190号(2025年6月)>

我が人生に悔いはなし

  • 担当マッサージ師/てあて在宅マッサージ所沢 奥村和也
  • レポート/てあて在宅マッサージ 相談員 間明日香
我が人生に悔いはなし
週2回通っているデイサービスでは「おしゃれ番長」の異名をとるKさん。出かけるときは、服だけでなく帽子までコーディネートに取り入れて全身かっこよく決めます。「奥さんと2人、衣食にはとことんこだわってきました。いつまでも一緒におしゃれをしておいしいものを食べに出かけたいですね」。 担当マッサージ師の奥村和也と。

 仕事も趣味も、誰よりもがんばって「一番」を叶えてきたT.Kさん(84歳)。62歳のときに脳出血を発症しました。現在は、週末においしいものを食べに出かけたり、月に数回ゲートボールを楽しんでいます。どんなに高い壁であっても、あきらめずに努力して乗り越え続けるKさんの姿に、多くの人が勇気づけられています。

一番の最高は…

一番の最高は…
玄関には、色鉛筆で綺麗に描かれた奥様のぬり絵の作品が飾られています。

 48年間呉服店を経営してきたKさん。「仕事も道楽もなんでも一番が良い」と、仕事と両立しながらゴルフやテニス、クレー射撃、ビリヤードなど、さまざまな趣味を楽しんできたと言います。中でも、48歳から始めた社交ダンスは、最高のA級ランクにまで到達しました。
「我が人生に悔いはないってくらい、いろいろなことをやってきました。でも、一番最高なのは奥さんに出会ったことですね」。奥様とは恋愛結婚。楽しい家庭の中で3人の子供、孫7人、ひ孫5人に恵まれました。そして、脳出血後も奥様をはじめ家族が一丸となってKさんに寄り添い、賑やかな生活を送っています。

「リハビリは遮二無二にやった。こんな病気に負けんかいと思って」/T.K

「リハビリは遮二無二にやった。こんな病気に負けんかいと思って」/T.K
麻痺後、下肢装具の装着はせずに、リハビリとマッサージで歩けるまでに回復してきました。マッサージとストレッチ運動で、血行促進や筋緊張の緩和、関節可動域の維持をサポートしています。「昔からマッサージが好きだから、気持ちいいですね」とほっこり笑顔に。

回復は本人次第

回復は本人次第
昔、孫にプレゼントしたカメのさんちゃん。30年以上のご長寿で、名前を呼びかけると顔を出しすっかり懐いています。

 体に異変を感じたのは社交ダンスのレッスン中でした。突然足がもつれ、「少し休んでまた始めましょう」と言っている間にどんどん意識がなくなりました。手術はなかったものの、左半身に麻痺が残りました。
 ほとんどの人は体が不自由になると、精神的にも落ち込み引きこもりがちになりますが、Kさんは違いました。
「この病気は、良い先生がいても本人がリハビリを一生懸命やらなければ治らないんですよ」と率先してリハビリに取り組んだのです。「こんな病気に負けてなるものか」。その一心でした。今では杖歩行ができるところまで回復し、71歳のときに出会ったゲートボールは84歳になる今も続けています。
 最近は、リハビリで階段の上り下りもスタート。「前回は5回でバテたので次は3回にしてもらいました!」。
 そんな言葉から、辛い訓練も、とことん楽しむ精神が見えてきます。Kさんからみなぎるエネルギーは周りにいる人をも力づけて元気にしてくれます。