月刊てあて「特集」

今月の特集

2025年7月1日<191号(2025年7月)>

決して折れない気持ちを胸に

  • 担当マッサージ師/てあて在宅マッサージ相模原 嶋村崇
  • レポート/てあて在宅マッサージ 相談員 今成光子
決して折れない気持ちを胸に
毎回、施術中には猫が傍にやってきてマッサージ中のJさんを見守ります。娘さんが小さい頃に外猫を保護して以来、長い月日をともに過ごした大切な家族たちです。担当マッサージ師の嶋村崇と。

 美しいシルバーグレーのヘアスタイルに、ほがらかな笑顔が印象的なJ.Mさん(83歳)。17歳のときにリウマチを発症して以来、半世紀以上にわたり、痛みと上手に付き合いながら病とともに歩み続けてきました。今では「リウマチの超ベテランです」と笑いながらも、趣味を楽しんだり、愛猫に癒されながら穏やかな時間を過ごしています。

厄介な病気

厄介な病気
マッサージ見守り隊の猫たち。
「おかーさん」の体が少しでも良くなることをみんなで願っています。

 リウマチは、免疫の異常によって関節が炎症し、痛みやこわばり、さらに変形や機能障害を起こす病気です。
「昔は一般的に知られていない病気で特効薬もなく、若さで痛みを乗り切っていました。この年になるとそうもいかないので気を付けて生活しているのですが、やっぱりついつい無理しちゃうんです。それで負担がかかって痛みが出る、の繰り返しです」。
 現在は免疫系の薬を服用して炎症を抑えていますが、炎症が1カ所治まっても、違うところに新たな痛みが発生します。完全に完治させることは難しいといわれている厄介な病気と向きあうこと半世紀以上。その間に、子どもを育て、家庭を守り、そして夫の介護もこなしてきました。Jさんの穏やかなものごしの内側には、病と闘い続けてきた強い心が宿っています。

「痛くても、私我慢してがんばってきたんです」/J.M

「痛くても、私我慢してがんばってきたんです」/J.M
週1回の施術では、関節の痛みを和らげ、全身の血流を改善。可動域の維持と日常動作や歩行の安定を目指してマッサージを行っています。

好きなことが心を豊かに

好きなことが心を豊かに
絵手紙は、暑中見舞いや年賀状など分からなくなるくらいの量を描いたとか。また島崎昌美さんの月刊てあての絵手紙を初めて見た時に感動し、以来ずっとファンだと話すMさん。毎月の絵手紙に励まされています。

 Jさんの趣味の一つに絵手紙があります。絵手紙歴はなんと30年!
「小学生くらいの時に、先生に絵をよく褒められて、それで描くことが好きになったんです」。今は月に一度、絵手紙グループに参加し、仲間と共に過ごす時間が心の癒しになっています。
 3年前にケアマネジャーの紹介で始めた在宅マッサージでは、リウマチによる関節の痛みからくる筋緊張を中心にほぐし、痛みを和らげています。
「マッサージ中はいつも良い気持ちになって眠たくなります」とにっこり笑います。
 痛みに耐えながら試行錯誤を重ね、病と寄り添ってきたJさん。病に負けないという強い気持ちを支えに、自分らしく好きなことを楽しむひとときや、娘さんと愛猫との豊かな暮らしを何より大切に、今日を過ごしています。