日本国憲法 写楽
- 2013年5月4日
私の本棚に「日本国憲法」 写楽編集部 小学館 がある
1982年 初版本である(ちょっと自慢)
三十年前 「写楽」という写真誌があった。
「アサヒカメラ」などのカメラ雑誌とも
ゴシップ写真週刊誌とも 一線を画した、メッセージ性の強い雑誌だった
この本は、 もし 『編集企画とはなにか』 という教科書があったなら、
まず、その1ページを飾るであろう
そんな画期的な、衝撃的な 本⇒企画 だった
日本国憲法を そのまま
大きな字体に ルビ付き(下段には語彙の説明がある)
随所に条文とは 特別関係のない写真が 29枚が配置され
(写真雑誌ならではの妙なのだが、写真は熱く語っている)
一切の解説を付けず 編集の「技」だけで、
日本国憲法を読むブームを巻き起こした、ベストセラー書だ。
編集部も予想外の快挙であったろう。
その後、似たような本が、続々書店に並んだ。
その中で、この本は、時代を超えたロングベストラーであり、
アマゾンで調べたら、2003年とあるので版が変わったが、
どうどうと まだ書店で売られているのが、うれしかった。
さて、
大きな字体に ルビ付き ただそれだけ?(当時は珍しかったが)
実は、29枚の写真の構成が、さすが写真編集部の「技の冴え」である
29枚の写真
1枚目⇒地球、アポロからの撮影
2枚目 3枚目⇒スペースシャトルの尾翼 日本列島
これから目次に行くぞと巻頭の写真だから これはまあ当然
次が、
右ページ 目次があって 左ページ 表紙日本国憲法とあり
ページをめくる
すると 4枚目の写真⇒ 医学書 眼科医が見るような拡大した右目
写真説明には、昭和22年生まれの女性の右目とある。
次ページから、待ってました 大きな字体に ルビ付きの条文がはじまる
随所に面白い写真がちりばめられており(80年代の懐かしい写真)
最後29枚目⇒月面からみた地球 アポロから
これは、1枚目との関連で収まりがつく。納得。
私が言いたかったのは、29枚の写真のそれぞれの配置
では
、最後(条文内の最後)の 28枚目は、どんな写真を配置したか?!
それは、「街角に沈む夕陽 」
電信柱と電線がひしめいている街中にまぶしい夕陽が沈む写真
人物は写っていないが 一日が暮れようとしている夕刻
ご飯だよーと子供を呼ぶ声や、下校中の学生の姿や
家路を急ぐサラリーマンの姿が、浮かんでくる
この写真は 三丁目の夕日のように
これから始まる一家団欒のささやかな食卓を予感させる、幸せだった
大きな威勢のよい声よりも
小さな声
それを守るのが日本国憲法の精神だと、28枚目の写真は、語っている