「境内の桜」
- 2025年3月24日
- 出版物(島崎/その他)
陽光が斜めに差し込む東側の窓からは、散歩にちょうどよい距離にある神社の重厚な屋根瓦が見えます。
普段は寡黙であまりお話をされない患者様ですが、几帳面に整理された施術ノートの束を手に、「お世話になって、もう6年以上になるなぁ」と、マッサージを開始した頃を思い出すようにおっしゃいました。
80歳代男性の患者様は、左片麻痺で重度の運動麻痺を長年患っていますが、教科書には載っていない独自の動作方法を確立して日々過ごされています。
体調が悪い日には、お体が固くなり歩くことも困難となりますが、マッサージを受けて頂いた後には柔軟性を取り戻して歩行が可能になります。
「今年も境内の桜を見にいきたいなぁ、今年は桜の開花が早いらしいね、あそこは綺麗なんだよ」と春の到来を楽しみにされています。
長い間、訪問させて頂いている事に喜びを感じつつ、患者様が桜を見上げる姿を想像しました。私も一緒に桜の開花を心待ちにしています。
てあて在宅マッサージ所沢/井上祐一
月刊てあて第187号より