ココロ温まるお話
- 2023年6月30日
- 出版物(島崎/その他)
「クイズ」
てあて在宅マッサージ相模原/三ツ木健朗
「お寺の隣に佇んでいる人はどなたでしょうか?」
某高齢者施設で生活されているH様は、今年で白寿を迎える女性の方です。
「最近物忘れがひどくてね」と仰いますが、矍鑠とされており認知症の影は見えません。
耳が遠くお友達と話す機会も減り、視力が落ちて本も読みにくくなり、退屈とのことで毎週クイズを考えて出題してくれています。
以前は新聞のコラムに投稿されていたという頭脳派のH様。クイズの戦績は、だいたい私が4割答えられるかどうか。上品な語り口からは想像できないような、頭を悩ませる問題が今日も私を苦しめます。ですが、H様も私も施術中はずっと笑顔です。
私たち施術者は、身体状況や日常生活能力の向上だけでなく、日常が少しでも豊かになるように心を刺激することができれば良いなといつも考えております。
負け惜しみではありませんが、例え、私が答えられない問題が多くとも、充実したひと時を過ごしてもらえれば満足なのです。
いえ、決して負け惜しみではございませんが。
「何処から来てるんだっけ?」
相模原院 藤井一行
週に一度訪問しているM様は、認知症を患っている患者様です。人がとてもお好きな方で、施術中はいつも楽しそうにお話をしてくださいます。
何度も訪問しているうちに、私の顔を覚えてくださっている様子で、さまざまな質問をしてくれます。しかし、認知症により記憶を留めておくことは難しく、訪問の度に同じ質問をされます。
M様「何処から来てるんだっけ?」
私「〇〇です」
と、お答えするやりとりを繰り返す日々でした。
ところがある日、「何度も悪いけど何処から来てるんだっけ?」。
さらには後日、驚くことに「〇〇から来ているんだよね」と、覚えてくださったのです。
私が「正解!」と答えたのはこれが最後。また「何度も悪いけど何処から来てるんだっけ?」の質問に戻ってしまいます。
それでも、自分のことを少しでも記憶に留めていただけたことがとても嬉しく、感謝の気持ちでいっぱいになりました。
また、再び覚えていただけるように、何度もお答えしていきたいです。
※クイズの答えは「侍」